読者の皆さんは税金に対してどんな思いがあるだろうか。「高い」「できれば払いたくない」など、ネガティブな思い(イメージ)しかないかもしれない。ただ、必要な税金をわれわれが納めなければ、今のような生活を維持することはできないのである。
だから、たくさん税金を納めようということを言いたいのではなく、もし、利益がたくさん出るのであればそれについて適正な税金を納めるべきだと考えている。そう、余計な税金は納めなくてもよいのである。
先日も顧問先からこんな相談があった。
「今年はたくさん利益が出そうだが、税金はなるべく安くしたい。というのも、この業績を来年度以降維持できるか分からない。もしもの時に備え、現金はたくさん持っておきたい」と。もっともな思いである。
リーマン・ショックのような不景気の波がまたいつ襲ってくるか分からない。その時、国が直接助けてくれるわけではない。そこで、私はこのような相談があった時は「経営セーフティネット共済」の話をする。制度の詳しい内容は中小機構のウェブサイトを参照いただきたいが、会社が約定に従って掛け金をかけ、その掛け金の一定の割合で、得意先などが倒産した場合、貸付をしてもらえるというものである。
一見すると何が節税かと思われるかもしれないが、この共済への掛け金が実は経費として認められている。1年間で最大240万円まで経費処理できるのである。そして、一定期間たって任意に解約しても、積み立てたお金は100%戻ってくる。
期末で大幅に利益が出た場合の節税で有名なのは生命保険などを活用したものであるが、共済は健康診断など必要なく加入できる。また、生命保険を販売する側の意図も介入するが、共済はそれがない。もし、この制度を知らない読者の方がいらしたら、ぜひ、一度検討してみてはいかがだろうか。
(髙村税理士事務所代表、髙村健一)